子育てと暮らし

【母親なんだから頑張れ】と言われ続けて壊れた私が、少しだけ楽になれた理由

はじめに:「母親だから」が、私を追い詰めた

「母親なんだから頑張って当然」
「子どもは母親が育てるもの」
「泣かせるのは母親の責任」
──この言葉を、私は何度聞いたか分かりません。

親からも、保健師からも、ネット上のコメントからも。
出産と同時に、「子ども第一」「母親としての責任」という
見えない鎖のような言葉を浴び続けてきました。

それは誰かの悪意ではなく、“常識”として存在していて、
疑うことすら許されないような空気がありました。

いつの間にか「人としての私」は、どこかに置き去りにされていたのです。

化粧もせず、朝食を食べることも忘れて、
スマホを見る余裕すらないまま1日が終わる。

「育児がしんどい」と口に出すことすらタブーのようで、
まるで“聖母”のような母親像を演じることに必死でした。

でも、ある日限界が来ました。

台所で洗い物をしていたとき。
水音の中でふと目に入った、床に転がった子どものおもちゃ。
その瞬間、突然涙が止まらなくなったのです。

何が悲しいのかも分からず、体が動かない。
シンクの前に立ったまま、ただ、泣き続けていました。

「これが限界ってことなんだ」と
ようやく気づいたとき、私は心のどこかで思いました。

──もう“母親”でいるのがつらい。

でもその感情にすら、罪悪感がつきまといました。
「子どもは何も悪くない」「私が弱いだけ」「もっと頑張らなきゃ」
そんな思考が、壊れかけた心をさらに追い詰めていきました。


「壊れる母親」は、特別な存在じゃない

「育児ノイローゼ」や「育児うつ」という言葉があるように、母親が限界を迎えることは“珍しいこと”ではありません。
ただ、それを「声に出して言える人」はまだ少なく、誰にも気づかれずに壊れていく人が大勢います。

◆ 実際のデータ

厚生労働省の調査によれば、子育て中の母親の約半数以上が「強いストレス」を抱えていると答えています。

「育児に悩みを感じた母親の割合」
・「とても感じた」…23.4%
・「やや感じた」…31.2%
(出典:厚生労働省 令和4年乳幼児健康実態調査)

つまり「しんどい」と感じる母親は、少数派ではなく、むしろ多数派なのです。
なのに、どうして「私だけが弱い」「私だけがダメなんだ」と思ってしまうのでしょうか?


私が壊れた原因は、“環境”だった

今思えば、私は母親として失格だったわけではありません。
単に「支えがなかった」のです。

周囲に頼れる人がいないまま、育児・仕事・家事のすべてを背負い続けていた私は、
“頑張り続ける以外の選択肢”を知らなかっただけでした。
一時保育やファミサポ、行政の支援など、制度として存在していても、
「使ってもいい」と教えてくれる人が誰もいなかった。

それが一番の孤独であり、
私のように「頑張りきれなかった母親」が責められる理由になってしまっていたのです。

◆ 頼れる人がいない

親との関係は決して良好ではなく、育児を助けてもらえるどころか「そんな甘えたこと言ってるからダメなのよ」と批判されることもしばしば。
パートナーも「育児は母親の仕事」と言わんばかりの態度で、家にいてもワンオペ状態。
行政窓口や児童館に相談してみても、形式的な対応や「とりあえずリーフレットをお渡ししますね」で終わることが多く、
心の底から頼れる人や場が、どこにも存在しないと感じていました。


◆ お金がない

保育園は空き待ち。認可外保育は月数万円と高額で手が届かない。
自治体の一時保育も、事前予約が必要だったり、数日先まで埋まっていたりして、緊急時にはまったく機能しませんでした。
民間のベビーシッターは1時間2,000円以上。使いたくても、1日数時間預ければ1万円近くなる。
**「働きたくても子どもを預けられない、だから働けない」**という悪循環に何度も泣きました。
支援制度があると知っても、手続きの煩雑さや情報の入りにくさに心が折れそうになりました。


◆ 社会の無理解

「子どもが最優先でしょ」「母親なんだから我慢しなきゃ」
──そう言われるたび、私は“母である前に人間である”という事実を忘れさせられていくようでした。
疲れていても、泣きたくても、助けてほしいと言っても「そんなの甘え」と突き放され、
SNSやママ友間でも「愚痴=自己責任」と見なされる空気がありました。
助けを求めることが“弱さ”として非難される社会では、誰も本音を言えなくなってしまう。
私自身も、「こんなことを思う私は母親失格なんだ」と、言葉にできない苦しみを抱えたまま日々を耐えていました。


私が「少しだけ楽になれた」4つの転機

完全に立ち直ったわけではありません。
でも、あることをきっかけに、少しずつ「呼吸できる時間」が増えてきたのです。

1. ファミリーサポートセンターに登録した

育児が限界に近づいたとき、行政の支援制度に頼ることにしました。
特に助かったのが「ファミリー・サポート・センター(通称ファミサポ)」。

  • 登録は無料・面談1回で完了
  • 利用料は地域差あり(1時間500円〜800円程度)
  • 急な用事・病院・リフレッシュ・仕事…どんな理由でもOK

何よりありがたかったのは、「一時保育のような堅苦しさがない」ことです。
地域のおばあちゃん世代の方が、自宅で見てくれることが多く、
子どもも安心して過ごせました。

▷ 登録の流れ(私の体験)

  • 市区町村のホームページで「ファミリーサポートセンター」と検索する
     → 申込窓口・登録方法・説明会の日程などが出てきます
  • 電話で連絡して、登録希望を伝える
     → 担当者と面談の日程を調整
  • 当日、窓口(または指定施設)で30分ほどの説明と書類記入を行う
     → 住所・子どもの年齢・希望の預け時間などを記入
  • 数日〜1週間後、条件に合った支援者さん(お預かり役)を紹介してもらう
     → 実際に会って「事前打ち合わせ」も行うので安心

私の場合、登録してから実際に使うまで2週間以内でした。
ネットでは不安な情報も見ましたが、担当者の人柄もよく、実際にはとても助けられました。

🔗 ファミサポ全国検索(厚労省リンク)


2. 「電話相談」に何度も救われた

「誰かに話せた」
──それだけで救われる夜が、何度もありました。

私が試した電話相談:

  •  保健センターの育児相談窓口(市役所や区役所に情報あり)
  •  子育てホットライン「ママさん110番」
     → 0120-70-7722(全国共通・年中無休・無料)

話したからといって、劇的に状況が変わるわけではありません。
でも、“今すぐ死にたい”と思っているときに、声が返ってくる場所があるというだけで、思考が止まりました。

匿名・無料・24時間対応など、状況に応じて使い分けができます。
「誰にも言えない」ことを、どこかで話せる場所をひとつでも持つことは、心の保険になります。


3. 子どもに「完璧な愛情」を向けようとするのをやめた

育児本やSNSの“理想のママ像”に縛られて、ずっと苦しかった。

「子どもに寄り添い続けなきゃ」
「叱らずに見守らなきゃ」
「イライラしてはいけない」

そんな言葉に、無意識に自分を縛っていたと思います。
でも実際は、寝不足、経済的余裕ゼロ、誰にも頼れずワンオペの毎日。
一日中泣き声と家事に追われて、昼食はおにぎりひとつで済ませることもありました。

それでも「母親なんだから」と自分に言い聞かせて、笑顔をつくって、子どもを抱きしめて。
けれど、夜になると毎日のように自己嫌悪で泣いていました。

私はそこで、ひとつ決めたんです。

  • 今日はYouTube漬けでもOK
  • 昼寝してしまっても自己嫌悪しない
  • 怒ってしまっても、あとで謝って抱きしめればいい

「ちゃんとした母親」じゃなくてもいい。
「壊れない母親」でいることの方がずっと大事。

この考えにたどり着けたのは、ファミサポに登録して、数時間だけ自分のために時間を使えるようになったことがきっかけでした。

「完璧な育児」をやめた瞬間、子どもに笑顔で向き合える日が少しずつ増えていきました。

育児は、減点方式じゃなくていい。
理想と現実の間でもがいた経験が、私にとっては“自分なりの育児”を見つける第一歩でした。


4. 家電に課金した(=“時短”は投資すべき)

「お金がないのに家電なんて…」と思っていたのですが、
実際に買ってみてわかったのは、**“時間と心の余裕を買える”**という圧倒的なメリットでした。

例えば…

コードレス掃除機(1万円台の型落ちモデルでOK)
 → 子どもがこぼしたときにサッと掃除でき、掃除のハードルが下がる
 → 部屋が整いやすくなり、精神的にも落ち着ける空間ができた

 ドラム式洗濯乾燥機(中古でもOK)
 → 洗濯物を干す・取り込む・畳む時間がまるごと消え、1日20〜30分の余裕が生まれる
 → 子どもが寝てからの「貴重なひとり時間」が確保できた

食洗機(設置型の小型タイプでも充分)
 → 朝夕の皿洗いが不要になり、手荒れも減ってイライラが軽減
 → 子どもとの時間に余裕ができ、「早くして!」が減った

その中でも圧倒的に活躍したのがルンバでした。子供のお菓子の食べかすや髪の毛、はいはいする末の子が埃や髪の毛を食べるのを防ぐため、常に掃除機をかけていたストレスが大幅に減少しました。


それでも苦しい日はある──「逃げ道」を持っていてほしい

ここまで書いても、現実が急に楽になるわけではありません。
私も、「もう限界…」と思う日は定期的にやってきます。

寝かしつけの最中に泣いてしまったこともあるし、
子どもに当たってしまって自己嫌悪に沈む日もあります。

でも、「ひとつでも手放せた日」があることが、次の1日をつなぐ力になる──
今はそう思っています。

たとえば、

  • 今日はファミサポに頼めた
  • イライラしても深呼吸できた
  • 家電に頼って30分だけ自分の時間が持てた

ほんのわずかなことでも、それは前の自分ができなかった一歩。
完璧な母親じゃなくていい。
自分を壊さず、今日を終えられたことだけでも十分なんだと、
そう自分に言い聞かせるようになりました。


実用リンクまとめ(支援制度・サービス)

種類サービス名概要・費用目安
子育て預かりファミリー・サポート・センター1時間500円〜/地域差あり・事前登録必須
相談子育てホットライン無料・匿名・0120-70-7722
医療支援EPDS(うつ簡易診断)自宅でチェック可能・PDF形式
家電食洗機/ルンバ3〜10万円程度/時短で自分時間を確保
在宅収入クラウドワークス/ココナラスキル不要のタスク作業からOK

私がよく利用したのは「ファミサポ」「ベビーシッター」「家電購入」でストレスの軽減を図りました。少し費用はかかりますが、ストレスを他ない選択をしました。

最後に

「母親なんだから頑張って」
──その言葉が、母親を一番追い詰めているかもしれません。

育児は、命を削ってやっている。
毎日が、泣いて笑って壊れて、それでもやるしかない戦いです。

だからこそ、頑張らない方法を知っていてください。
「壊れない」ことの方が、ずっと大事なのです。

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