はじめに|「こんなにイライラするなんて…私って母親失格?」と思ったことはありませんか?
子育ては尊い仕事であると同時に、感情のジェットコースターでもあります。 「子どもは宝」と頭ではわかっていても、泣き声にイラッとしたり、言うことを聞かない姿に怒鳴ってしまったり… そんな自分に嫌気がさして、「私は母親失格なんじゃないか」と落ち込んでしまう方も多いでしょう。
しかし、それは“あなただけ”ではありません。実は、多くの母親たちが感情のコントロールに悩んでいます。 この記事では、感情がうまくコントロールできない原因や、怒り・イライラとの向き合い方、今すぐできる対策などを、最新の心理学的知見や実際の母親たちの声も交えて紹介していきます。

なぜ子育て中に感情が爆発しやすくなるのか?
1. 睡眠不足とホルモンバランスの乱れ
出産後から数年は、夜泣きや授乳・寝かしつけで母親の睡眠時間が極端に短くなります。 慢性的な睡眠不足は、イライラ・怒りっぽさ・集中力の低下を引き起こしやすく、感情のコントロール力を著しく下げてしまうことがわかっています(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と感情」)。
2. ワンオペ育児や孤独感
相談できる相手がいない・夫の協力が得られない状況では、全てを一人で抱え込み、精神的に追い詰められやすくなります。 NHKの調査(「孤育て」特集)によると、母親の約4割が「子育ての孤独感」による精神的な負担を感じていると回答。
3. 理想の母親像とのギャップ
「いつも笑顔で、怒らず、きちんと家事・育児をこなす母親」が“理想像”として広く共有されています。 しかし、現実の育児は予測不能の連続。理想と現実のギャップに苦しみ、自己嫌悪に陥るケースが少なくありません。 また、SNSなどで“理想の母親”像を日常的に見せられることにより、「私はダメな母親なのでは」という錯覚が強化される傾向もあります(参考:国立成育医療研究センター「母親のメンタルヘルス」)。
感情が爆発したときによくある思考パターン
- 「また怒鳴ってしまった…最低な親だ」
- 「子どもに申し訳ない。こんな親でごめんね…」
- 「私はちゃんと育てられないんじゃないか」
このような思考は“自動思考”と呼ばれ、瞬間的に浮かぶネガティブな思い込みです。 臨床心理士・高橋紀子氏によれば、「自動思考を“事実”と錯覚してしまうことで、感情がさらに増幅し、行動にも悪影響を与える」と指摘しています(出典:公認心理師ジャーナル)。
さらにこの自動思考が続くと、慢性的なストレス状態となり、「怒りの感情がすぐに出てしまう」「反射的に怒鳴ってしまう」といった反応が定着しやすくなります。これにより親子関係にも負の連鎖が生まれてしまうことも。
筆者も良くないと頭で分かっているのに、怒鳴ってしまう自分に嫌悪感を抱き、子育てはもちろんのこと自分の存在まで否定したくなっていきました。
その結果「育児ノイローゼ」と診断されてしまった過去があります。
感情に振り回されないために今すぐできること
● 1日5分の「感情メモ」をつける
自分がどんなときに怒りや不安を感じるのか、毎日書き出してみましょう。
- 何があった?
- どんな気持ちになった?
- どんな言葉・行動をした? を可視化することで、感情のパターンを客観視しやすくなります。
日々の記録を見返すことで、「特定の状況で怒りが起きやすい」「子どもが泣いたときに反応してしまう」などの傾向に気づくことができます。これは、自己理解と改善の第一歩になります。
● スマホを閉じて“今”に意識を向ける
SNSやネット情報を見すぎると、「他人と比較して落ち込む」思考が強まりがちです。 10分だけスマホを置いて、子どもの顔や動きに集中してみると、心が少しずつ落ち着いていきます。 特に、スマホから目を離して子どもの目を見て話すことは、親子のつながりを強める重要な時間にもなります。
筆者が今すぐにおすすめするのが、スマホ遮断です。SNSの比較だけでなく、「息抜き」としてスマホで何か見ていても情報過多で逆に疲れが溜まります。実際に、筆者はスマホを2時間触らないと決めて時は、調子がいいなと感じることが多かったです。
● 深呼吸&ストレッチを“イラッとしたら即”実行
感情が高ぶったときは、まず深呼吸。 そして軽く首・肩・腕を回すストレッチを行うことで、副交感神経が優位になり、怒りの衝動が和らぎます。
心理カウンセラーの小川知子氏は、「怒りを感じた瞬間に体を動かす習慣をつけることで、脳が“怒り=行動”ではなく、“怒り=整える時間”と認識するようになる」と述べています。
また、以下の“セルフクールダウン法”も有効です:
- 5秒吸って、5秒止めて、5秒吐く深呼吸を3セット
- 頭から氷水をかぶったイメージを持つ(冷却思考)
- 「今怒っている」と自分に声をかける(メタ認知)

体験談:「怒ってばかりいた私が変われたきっかけ」
私は2児の母で、以前は毎日怒ってばかりいました。言うことを聞かない子どもにイラつき、感情的に怒鳴っては寝顔を見て反省…そんな日々でした。
ある日、保育園の先生に言われたんです。「お母さん、疲れてるんですね」
その一言がきっかけで、自分の心の余裕のなさに気づき、怒ってしまう自分に責めて、自信を無くして…という悪循環からまず抜け出すことを意識しました。
「怒ってしまう時もある」「次!次!」と思わないと、一回きつく怒ってしまっただけでその日はネガティブモードから抜け出せず怒りの沸点も低くなってしまうからでした。
まずは自分を責めるのをやめて、少しでも力を抜くことを意識するようになりました。
完璧な母親ではなくていい。怒ってしまう日があってもいい。
でも「ごめんね」と素直に伝えること、ゆる〜く何ができるのか冷静に考えること。
自分の感情を見つめること、そして何より“自分のケア”を少しでも大切にすることを大切にしていきました。
「寝る時間が遅くなってもいい」「たまにはインスタントラーメンでいい」「癇癪起こしてもいい」。そのゆるさが自分を救ってくれたような気がします。
小学生中学年になる頃には、「今日嫌なことあって機嫌悪めです〜」「生理前だよ〜」など、私から怒りの沸点が低くなっていることを伝えていました。そうすると、子どもたちも了解〜と言って、少し手伝ってくれたりしています。
「感情的な自分」を責める前に知ってほしいこと
私たちは「良い母親でいたい」という強い願いを持って子育てに向き合っています。しかし、その理想像がプレッシャーとなり、自分を追い詰めることも少なくありません。
実は、感情が爆発すること自体は「悪いこと」ではありません。怒りや悲しみ、不安といった感情は、私たちが「限界を超えそう」と教えてくれる“サイン”です。
子どもに対して怒りを感じたとき、自分がどんな状態だったかを振り返ってみてください。
- 寝不足だった?
- 食事はちゃんと取っていた?
- 誰かと話せる時間があった?
感情のコントロールは「自分の心身の土台」が整っていなければ難しいのです。
まとめ|怒ってしまう自分を「否定」せず、「理解」する
感情のコントロールがうまくいかないとき、多くの母親が「こんな自分は母親失格だ」と思いがちです。しかし、怒りやイライラは誰にでも起きる自然な感情。そこに“善悪”のラベルを貼る必要はありません。
- 感情は湧き上がるもの
- それをどう扱うかが大切
- 自分を責めず、まずは整える
この視点を持つだけで、子育てのストレスは少しずつ軽くなっていきます。

読者へのアドバイス|「完璧じゃなくていい、今日から少しだけ自分に優しく」
毎日頑張っているあなたへ。
イライラしてしまっても、怒ってしまっても、それで「ダメな母親」になるわけではありません。むしろ、その後にどう立ち直るかこそが、子どもにとっての大切な学びになります。
- 「ごめんね」と謝れる姿
- 気持ちを整理しようとする背中
- 自分自身を大切にする習慣
これらが、子どもにとって最高の手本になります。
どうか今日から、「ちゃんと怒らない母親」ではなく、「ちゃんと回復できる母親」でいてください
