はじめに:家賃に悩むあなたへ
「仕事を辞めたばかりで、家賃が払えない…」「シングルマザーで家計がギリギリ」「転職活動中だけど、住む場所が不安定」
このような不安を抱える人にとって、“住居”の確保は生活の土台そのもの。そんなとき、国や自治体が支援してくれる家賃補助制度があります。
それが「住居確保給付金(じゅうきょかくほきゅうふきん)」です。
この制度は、家賃の一部を自治体が代理で大家へ支給する形で、一定期間「住まいの維持」をサポートしてくれるものです。制度の内容を正しく理解すれば、金銭的な不安を大きく軽減できます。
この記事では、制度の概要から対象者、申請方法、注意点、活用事例までをわかりやすく解説。失業・離職中や生活困窮の状況でも、前向きな一歩を踏み出せるよう、役立つ情報をまとめました。
支払いを削ってみたけど、もう削れる部分がない…。そんな時にぜひ調べて欲しいのが「住居確保給付金(じゅうきょかくほきゅうふきん)」です。

住居確保給付金とは?制度の概要
突然の離職や収入減少によって、家賃の支払いが難しくなったとき——そんなときに「住まいを失うかもしれない」という不安は、とても大きなストレスになりますよね。
住居確保給付金は、そうした状況にある方の“住まい”を守るための支援制度です。自分らしく暮らしながら、安心して次の一歩を踏み出すためのサポートとして、ぜひ知っておいてほしい制度です。
住居確保給付金とは、厚生労働省が所管する「自立相談支援事業」の一環で、離職・廃業・収入減少などにより住居を失うおそれのある人に対して、家賃相当額(上限あり)を支給する制度です。
引用:厚生労働省「住居確保給付金」概要
「生活困窮者自立支援制度のうち、住居を喪失または喪失の恐れのある人に対し、原則3か月間、自治体から家主へ家賃を支給する制度」 出典:厚生労働省公式サイト
住まいを失えば、就職活動どころではありません。そうした状況を防ぐため、最低限の居住を保障し、自立につなげる制度です。
支給の仕組み
- 支給対象:住居を喪失した、または喪失の恐れがある人(条件あり)
- 支給方法:原則、自治体から大家へ直接振り込み
- 支給期間:原則3ヶ月(最大9ヶ月まで延長可)
家賃上限の目安(月額)
(※地域により異なります)
- 単身世帯:〜5万3,700円
- 2人世帯:〜6万4,000円
- 3〜5人世帯:〜6万9,800円
詳細は各自治体の「住宅扶助基準額」に準じます。
筆者の住む地域は、3人世帯で3万9千円でした。地域によって大きなばらつきがあるので要確認を。
対象となる人の条件と収入基準
住居確保給付金は「誰でも受けられる」わけではなく、いくつかの条件があります。以下の表に沿って、自分が該当するかどうかを確認してみましょう。
基本的な対象条件
条件 | 内容 |
---|---|
離職・廃業などで収入が減少した人 | 原則として、離職・廃業から2年以内(※特例で現在の収入減少者も対象) |
就労意思があること | ハローワークなどへの求職申込と就労活動の継続が必要 |
一定の収入・資産基準を下回っている | 世帯人数に応じた基準額以下(下記参照) |
現在の住居を喪失、またはその恐れ | 家賃滞納がある、もしくは収入的に維持が困難と判断される場合 |
収入・資産の目安(例:東京23区)
世帯人数 | 月収の上限(目安) | 預貯金の上限(目安) |
単身 | 約8万4,000円 | 約50万円 |
2人世帯 | 約13万円 | 約70万円 |
3人世帯 | 約17万円 | 約90万円 |
地域や世帯構成によってこの金額は多少変動しますので、正確な金額はお住まいの自治体で確認しましょう。
次は、実際に受け取れる支給額や期間について解説していきます。(※ご希望に応じて続きの章を順に作成可能です)
収入基準は地域や家賃相場に応じて差があります。都市部では基準がやや高く、地方では低く設定されている傾向があります。特に東京都などでは住居費の補助上限も高めに設定されているため、居住地域による違いに注意しましょう。
支給される金額と期間の詳細
住居確保給付金では、支給される金額や期間が明確に定められています。ただし、実際にいくら支給されるかは、世帯の人数や地域によって異なります。
支給額の目安(月額)
以下は、家賃の支給上限額の一例です(地域により異なるため、目安としてご覧ください)。
世帯人数 | 支給上限額(例:東京都23区) |
単身 | 約53,700円 |
2人世帯 | 約64,000円 |
3〜5人世帯 | 約69,800円 |
※実際の金額は「生活保護制度の住宅扶助基準」に準じており、都市部ほど高めに設定されています。
参考: 上記の家賃上限は、厚生労働省および各自治体の住宅扶助基準額に準拠しています。
支給期間
- 原則3か月間の支給
- 最大で9か月まで延長可能(3か月ごとの審査あり)
支給延長の可否は、就職活動の進捗や相談支援員との面談内容を踏まえて判断されます。
支給方法
- 家賃相当額を、自治体から大家さん(または管理会社)へ直接支払うのが基本です。
- 住民が直接受け取るわけではない点に注意が必要です。
このように、あくまで「住まいの確保を目的とした家賃補助」であることを前提に、制度は設計されています。
申請に必要な書類と手続きの流れ
実際に住居確保給付金を利用するには、自治体窓口での申請が必要です。ここでは申請時に必要となる書類と、申し込みから支給までの流れを整理して解説します。
必要書類(例:東京都の場合)
書類名 | 内容・補足 |
本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など |
離職・廃業の事実を証明する書類 | 離職票、退職証明書、廃業届など |
収入に関する書類 | 給与明細、失業給付明細、年金通知書、収入申告書など |
資産に関する書類 | 預金通帳の写し、証券口座の明細など |
家賃の支払いを確認できる書類 | 賃貸契約書、家賃支払い証明書、振込明細など |
求職活動の意思を示す書類 | ハローワークへの求職登録、求職活動計画書 |
※自治体によって必要書類は異なる場合がありますので、事前に公式サイトや窓口で最新情報を確認しましょう。
手続きの流れ(標準的な例)
- 自立相談支援機関(各自治体)へ相談予約を入れる
- 相談支援員との面談・ヒアリング(求職活動計画の策定)
- 必要書類をそろえて正式に申請
- 審査・確認(1〜2週間)
- 決定通知後、家賃支給がスタート(原則、大家へ直接支払い)
制度活用時の注意点と落とし穴
住居確保給付金はとてもありがたい制度ですが、いくつか気をつけておきたいポイントがあります。申請のタイミングや条件の見落としが、支給の遅れや却下につながることもあるため、以下の点をしっかり確認しておきましょう。
1. 対象外になりやすいケース
- すでに生活保護を受給している人は、重複支給対象外となります。
- 無職でも求職活動をしていない人や、ハローワークに未登録の場合も支給されません。
- 実家などに住んでいる場合は、賃貸契約がないため支給対象外です。
2. 就労活動の報告が必須
支給期間中は、原則として週2回以上の就職活動や相談支援機関への報告義務があります。これを怠ると、給付の打ち切りや延長不可になることがあります。
3. 契約書類や家賃証明の不備に注意
提出書類の不備や不足は、審査の遅延や否認の原因に。家賃の支払い状況が分かる証明(領収書、振込明細、契約書)が必要です。
4. 支給は“家賃相当額”まで
あくまで家賃相当額(上限あり)の補助です。敷金・礼金・更新料・共益費などは対象外であることが多いため、申請前に確認しましょう。
5. 支給延長には条件がある
3ヶ月後に自動で延長されるわけではなく、延長には再審査と「就労意欲が見られる」ことが必要です。支援員との面談は継続的に行いましょう。
アドバイス: 申請前に一度、自治体の自立相談支援機関に電話相談してから訪問予約を入れると、手続きがスムーズになります。
活用事例と体験談:制度が“人生の転機”になった人たち
実際に住居確保給付金を活用した方たちの声には、「制度があって本当に助かった」「何とか住まいを維持できたことで、仕事探しに集中できた」といったリアルな実感があります。
ケース①:シングルマザー・子2人(東京都在住)
離婚後、子どもを育てながらアルバイトをしていましたが、突然契約終了に。貯金も少なく、家賃が払えなくなる寸前でした。保育園を続けるには引っ越せないと思い、区役所の相談窓口で紹介されたのがこの制度。住まいを失わずに済み、3ヶ月後には事務の派遣で復帰できました。
ケース②:30代男性・転職活動中(大阪府)
前職を退職後、なかなか次が決まらず。家賃の支払いに困っていたところ、ハローワークでこの制度を教えてもらいました。就職活動の報告もありましたが、週2回程度で自分のペースで行えたので負担も少なく、無事に契約社員として再就職できました。
ケース③:50代女性・介護離職後の再出発(埼玉県)
両親の介護で退職してから、ブランクがあり再就職に時間がかかりました。親が亡くなり生活に不安を感じていた頃、住居確保給付金を知りました。制度のおかげで家を出ずに生活を立て直せたことは、自分の自信にもつながりました。
このように、住居の安定があることで、その後の生活再建が可能になるケースは多くあります。

よくある質問(Q&A)
Q1. 働いているけど収入が少ない場合も対象?
A. はい、現在働いていても、収入が収入基準以下であり、住居喪失の恐れがある場合は対象となります。
Q2. 家族と同居している場合でも申請できる?
A. 賃貸契約者があなたであり、家賃を支払っている場合は可能です。ただし親族名義の住居や、実家の場合は対象外になることがあります。
Q3. 審査にかかる期間はどのくらい?
A. 目安としては申請から2週間〜1ヶ月以内に通知が届きます。ただし混雑状況や書類不備によって変動します。
Q4. 過去に利用したことがあるけど、もう一度申請できる?
A. 原則は1回限りですが、再申請が可能になる特例もあります。自治体の相談窓口で個別に確認を。
Q5. 他の支援制度と併用できる?
A. 生活保護との重複は不可ですが、求職者支援訓練、就職氷河期世代支援、公共職業訓練などとの併用は可能な場合があります。
自治体の探し方と相談窓口の見つけ方
住居確保給付金の相談や申請は、「自立相談支援機関」という名称で各自治体に設けられています。
調べ方のポイント
- 市区町村のホームページで「住居確保給付金」または「自立相談支援」で検索する
- 「福祉課」または「生活支援窓口」がある役所のページを探す
- 厚生労働省の公式リストから地域別に調べるのもおすすめ
厚労省リンク:全国の自立相談支援機関一覧(PDF)
電話で相談したいときは?
「◯◯市 住居確保給付金 電話番号」とGoogle検索するのが早い方法です。 また、近隣のハローワークや地域包括支援センターでも情報提供していることがあります。
まとめ:住まいを守ることは、未来を守ること
住まいがあることで、人は「安心して考える力」や「前に進む余裕」を取り戻せます。住居確保給付金は、単なるお金の支援ではなく、あなたの生活を立て直す“きっかけ”をくれる制度です。
制度の内容を正しく知り、必要なタイミングで迷わず活用できれば、人生を再スタートするための土台を築くことができます。
最後に押さえておきたいポイント
- 家賃が払えない=すぐに諦めるのではなく「相談してみる」ことが第一歩
- 制度には申請期限・収入基準・就職活動の義務などがあるため、事前確認が重要
- 住まいが安定するだけで、心も整い、就職・育児・生活全体が前向きになる
制度を「難しそう」と感じていた方も、この記事をきっかけに、あなたや大切な家族の住まいを守る一歩を踏み出してみてください。
あなたの「今」と「これから」のために、この制度は存在しています。
